2017年2月1日 水曜日
2016年10月7日に茨城県大洗港からカーフェリーに乗り、8日に北海道の苫小牧港に到着した。主宰しているフォト寺子屋“一の会”の紅葉撮影会が、まもなく道東で行われる。それに先だって、撮影予定地を下見するという目的があったからである。だがその前に、もうひとつ自分の撮影の楽しみがあった。それは、昨年に続き、鮭の遡上を撮影することだった。
白老町のオヨロ川とある支流が合流する地点が、昨年見つけた撮影ポイントだった。しかし再び訪れると、北海道を何度も襲った今年の台風の影響で、様子が変わっていた。支流との合流地点は少し深い淵とでもいおうか、鮭たちが遡上する順番待ちの待合所だったのだが、そこが土砂で埋まって浅瀬になっていた。そのため、そこを遡上する鮭はほとんどいなくなっていた。カメラの目の前をひっきりなしに遡上する迫力に満ちた光景は、二度と見ることはできなくなってしまった。台風の影響の大きさを、実感せざるを得なかった。
苫小牧港に入港してからすでに感じていたことだが、紅葉の彩りがたいへんに遅れていた。白老町から高速道路に乗り、道東に向かった。撮影予定地の彩りはかなり悪く、葉は青々としている。一方、標高の高い所に向かうと、そこではすでに葉が落ちているではないか。よくよく調べてみると、どうやら“塩害”らしいということがわかった。過去に無いような数度にわたる台風の直撃は、海水の塩分を含んだ雨を至る所に降り注ぐことになったのだ。その結果、木々の葉は痛み、例年の美しい彩りは姿を消していた。
北海道における台風の影響は、今回の秋の撮影に残念な結果をもたらすことになった。だが、嬉しい出来事がひとつ起きていた。それは、国の天然記念物に指定されている阿寒湖の「マリモ」が、救われつつあるという知らせだ。阿寒湖のマリモは、水面を覆うように大量に繁殖した水草によって、瀕死の状況が続いていたという。その水草が台風によって岸辺に打ち上げられ、マリモは生き返りつつあるというのだ。今回ばかりは、台風の珍しい“功”を知り、なんだか少しばかりほっとした。