2018年10月22日 月曜日
2018年6月20日。ここは、北海道清里町にあるさくらの滝。ここでのサクラマスの撮影は、今回が三度目となる。三日前に標津町の滝で撮影を試みたのだが数が少なく、時期的にまだ早すぎたのかとあきらめていた。さくらの滝でも多くは期待していなかったが、いざ滝に到着すると、サクラマスは盛んにジャンプをしていた。大きいものは50センチを超えていて、その迫力に息をのむ。まさかの光景に、感動のボルテージが一気に高まった。
サクラマスは、実は渓流の女王と呼ばれているヤマメという魚と兄弟である。ヤマメが海に出て栄養豊富のプランクトンを食べて大きくなり、川に戻ってきたのがサクラマスという。海に出なかったものは、ヤマメのままで一生を送るというのだ。では、川に残るものと海に出るものはどのように分けられるのか。これまでの研究によると、稚魚の成長段階で大きくなったもの(ほとんど雄らしい)はそのまま川に残り、成長の遅かったもの(大半が雌らしい)が海に出て大きくなるというのだ。
さて、落差がおよそ5メートルもあるこの滝を登りきることができるのは、はたしてどれほどいるのだろうか。数年前に訪れたとき、半日ほど観察したところでは、おおよそだが、1000回の挑戦で1~2回の成功といったところだった。まず、4メートルほどのジャンプができないサクラマスは、成功できない。また、4メートルのジャンプを成功したとしても、残り1メートルを泳ぎ上ることができるのは、およそ10匹に1~2匹という割合だった。もちろん、一回の挑戦で成功するものもいれば、何百回と失敗を繰り返すものもいるだろう。だから1000匹に1~2匹という成功率ではなく、あくまでも1000回に1~2回の成功率という表現になる。
それにしても、何度挑戦しても絶対に無理だと思われる小さなサクラマスのジャンプを見つめていると、なんだか切なくなったりする。しかし一方では、彼らに比べて自分自身の諦めの早さも少々気になる。サクラマスのジャンプに、いろいろと考えさせられた。