「お昼、できましたょぉ。よかったら食べていって下さい。」
彼岸花を撮影している私たちに、Fさんの奥さんからやさしい声がかけられた。「ありがとうございます。今、お伺いします。」と、少々戸惑いながら私は返事した。機材をしまい、私に同行している写真愛好家のKさんと一緒に、恐縮した面持ちで玄関に入った。すると、目の前のテーブルに、暖かい昼ご飯が用意されていた。
ここは、熊本県の山の中。幽玄の風情漂う山間に、一件の古びた民家がぽつんとあった。今は千葉に住んでおられるFさんの実家だが、家を継いだお兄さんが亡くなられてしまったので、9月から10月初旬に掛けて戻ってくるという。その一番の目的は、“彼岸花”の手入れらしい。家の周囲には、自生の彼岸花がそこかしこに咲き乱れ、いわゆる彼岸花名所とはひと味もふた味も違った情感が漂っていた。それにしても、初めて訪れた私たちに昼ご飯を振る舞ってくれるとは、全国を旅する私でも意表を突かれるもてなしだ。その後もしばらく撮影を続け、やがて丁寧にお礼を申し上げて次の撮影地に車を走らせた。
今回は、9月17日に東京を発ち、奈良、愛媛を周り、九州は大分・熊本・佐賀・福岡各地の彼岸花と棚田を満喫する撮影行であった。一週間の充実した撮影を終え、新門司発のフェリーの中で暗い海を見つめたとき、山口百恵の“まんじゅうしゃかぁぁ”という哀愁を帯びた歌声が聞こえてきた。
独り言 -時々のつぶやき-
曼珠沙華の旅
更新:2012年09月25日
ようやく、オープン!
更新:2012年09月24日
“自分のホームページを作らなくては、”と思い立ってから、すでに7年も過ぎてしまった。その間ネット上では、私のホーページはあるのかとか、写真家として早くホームページを作るべきだ、などという書き込みややりとりがあったらしい。
それでも多忙な日々が続き(もちろん仕事の処理能力との兼ね合いだが)、作成に踏み切る決断ができないままで月日が流れていった。だが、私の場合は、いろいろなことが機が熟すように順番に決まり、道が開かれていくことが多い。今回も気がつけば、長年手をつけずにいたこの課題に一気に着手している自分がいた。それから一月半が経過した今、待望のホームページが公開される日を迎えることができた。
今は、まるで写真展の開催に辿り着いたような心境になっている。限られた予算では限界があるものの、なかなかすてきな我が家ができたのではないかと思う。この“独り言”も頑張って四つも書いてしまったが、今後の更新が早くも心配だ。ともあれ、たくさんの方々に訪問していただければ、嬉しい。